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皆様、お久しぶりです。

演劇ユニット・ロカイユ主宰、旗揚げ公演『と或るメルヘン』では脚本と演出を担当いたしました、小田春です。

ご挨拶が遅くなり、大変申し訳ございません。


『と或るメルヘン』全二公演、無事に終演いたしました。

皆様、誠にありがとうございました。




とても昔の事のようにぼんやりとしています。

一方で、ざらざらとした感触でずっと心の中に残っています。

ちゃんと噛み砕いて、飲み込まなければ。


さて、何を書こうかな。

思いつくままのんびり書きますので、のんびり読んでいただけたら幸いです。




まずは脚本について。

ずっとお話したくてうずうずしていたこと。


本作品『と或るメルヘン』は、役者三人に当て書きをさせていただきました。

過去作でも当時所属していたユニットのメンバーから要素を借りて当て書きをしたことがありますが…それは美味しいとこ取りです。

今回は役者三人を等身大に捉え、「その役者のための」当て書きに挑戦しました。


ただ、三人の性格を完全に理解している自信はありません。その人を分かった気になって書くことは、後々お互いに苦しめることになるかもしれないと考えました。

そのため、今回はそれぞれのお芝居の仕方からインスピレーションを受けて書くことにしました。

それについて少し説明させてくださいね。


まず篠田さん。

私にとって篠田さんは「華」の象徴的な役者さんです。

動きの華、声の華、表現の華…舞台上にいるだけでスポットライトが当たっているような印象を受けます。


言語化できない何か、才を持っている役者さん。

篠田さんには今作の「華」を担当してもらおうと考えました。

大きな動きや感情表現ができるよう、当初想定していた結末から少し変更しています。


私にとっては切り離すことのできない『銀河鉄道の夜』。

もう一度、新説を唱えさせていただきました。

過去作では「無邪気」の象徴として描いたザネリ。今回はかなり違う人物像で、これはこれで一つの解かなと思っています。




次に山崎さん。

何度も言っていることですが、私は山崎さんのお芝居の「嘘のなさ」が好きです。

台詞のない場面でもずっと役として生きているところに目を奪われてきました。


そんな山崎さんのお芝居を生かすために、会話劇を選択しました。

一続きの時間でありながらも、各場面ごとにショートショートのような不思議さと子気味よさが出せたらいいなと思っています。


全体的には最後の台詞を思いついてから書いた物語でした。

今回の狙いとして、お客様の人生に纏わりつく「遅効性の演劇」にしたいという気持ちがありました。

続いていく。思い出す。

終わりを曖昧にしたのもそのためです。


メタをやったことがなかったので挑戦でしたが、書いていて楽しかったです。

チラシにおいても、山崎さんだけがこちらを見ている構図がとても気に入っています。




そして野口くん。

後輩たちが劇団笛に入団して初めてのオーディション、野口くんのお芝居を見て「こんなに癖のないお芝居ができる人がいるんだな」と思ったことがとても印象に残っています。


癖のない、というのは個性がないのとは違います。

特に、長台詞においては大事なことをすっと言える役者は貴重だと思います。

野口くんには長台詞をやってもらおうと決め、このような物語にしました。

小説のような語り口と鬱々とした雰囲気が気に入っています。


また、エチュードで見た飾らない野口くんのお芝居がずっと記憶に残っていました。

公演に向けたお芝居とは違って、飾らないがむしゃらな感じがよかったのだと思います。

今まであまり感情的な役をやっていない野口くんだからこそ、色んな表情を見たいと思って泳一を設定しました。

人間らしい、それがいい。

よい役になったと思います。




性格は寄せていないつもりだったけれど、稽古をしていく中で「これは似ているね」と気付くことも多かったです。

私の中では良い脚本というのは、”脚本家自身も知らぬ間に、全て繋がっているもの”なので、上手くいったなとほっとしています。


タイトルは中原中也の詩『一つのメルヘン』から。

音が好きで、そこから連想してメルヘン=思考実験というテーマにしました。


脚本の構成については、いつもよりも絵作りを頑張りました。

今回は私が人生の中で感じてきた美を全てお伝えしたいという願望があり、記憶を辿って自分が美しいと思ってきたものを全てリストアップしました。

そのため、過去作に比べてモチーフが多くなっています。


今までの私は良くも悪くも「絵本」のような作品を作ってきました。

しかし、もう少し観客を信じてもいいのかもしれないという思いから、今作はかなり作風を変えています。

お客様が振り落とされないギリギリのスピードで。

説明も5割、伝わればいいやという気持ちで書いています。


それでも。

日常の中でふと思い出す、考える。

そんなものになっていたらいいなと思っています。


これまでの人生で色々と経験し、傷ついたり傷つけたりして、何かは学んだつもりです。

それをかなり強く反映しています。

みやじまさんからも「強くなりましたね。芯がある」と言っていただいて嬉しかった。

私の成長も見てもらえると嬉しいですね。




さて、ここからはメンバーに向けたメッセージにしようと思います。




しーちゃん

劇団笛にいた頃、私はたくさんしーちゃんに救われていました。

演出をやっていたときは、しーちゃんが楽しそうだと自分の仕事に自信を持てました。

体調を崩しがちな私を助けてくれて、背中に手を添えてくれたり、楽しい話をしてくれたりしたことも覚えています。


人を救うことのできるしーちゃんは、私とは違う人間なのだと思っていました。

でも、公演期間、しーちゃんとたくさん言葉を交わす中で、私たちは同じような感情を経験し、同じように演劇に救われてきた人間だということを知りました。

分かり合うことができる人が、あなたでよかったなと思います。


私は、本当に信頼できる人とは「自分の弱さを見つめることができる人」だと考えています。

誰だってダサい自分から目を逸らしたい。

でも、しーちゃんにはそれに向き合う強さがあると思います。

本当に尊敬しています。


ロカイユに来てくれてありがとう。

これからはあなたの、善き友人でありたいです。




野口

あのとき、「書かないんですか?」って言ってくれてありがとう。


あの日は、傷ついたり疲れたりして…もう劇団笛に関わるのはやめようと思って、お別れを言うつもりで会いに行きました。

そういうとき、あなたはいつも引き留めてくれる。


冗談でなく、あなたは私の命の恩人です。

三回くらいは救われているんじゃないかな。

さらりと人を救うあなたを憎らしく、とても羨ましく思っています。


本当にありがとう。




ゆり

いつも真っ直ぐで、一生懸命なあなたが大好きです。

あなたのお芝居が大好きです。


ゆりは後輩の中では一番仲良しで、一番私に似ていると思っています。

私が苦しんでいるとき、あなたはいつも私の味方でいてくれる。

私の欲しい言葉をくれて、してほしいことをしてくれる。

とてもとても救われています。

私もあなたの救いになりたい。


公演を経て、もっともっと仲良くなれた気がします。

理解し合えていると思ってるけど、どうかな。


あなたは私の大切な人です。

これからも頼ってね。




岩永さん

この稽古期間中、岩永さんには精神的にとても助けられました。

たくさん褒めてくれて、励ましてくれてありがとう。


岩永さんがいるだけで稽古場の雰囲気が明るくなって、私はひとりじゃないって思えた。

仕込みの日、疲れてダラダラとした空気が流れていたときも、真剣に私の話を聞いてくれて、本当に嬉しかったです。

心の支えでした、本当にありがとう。




近さん

忙しい中、たくさん稽古場に来てくれてありがとう。

私と同じ気持ちでいてくれること、本当に安心します。

私が言うとピリッとしすぎちゃうな、と思って言えなかったことを近さんが言ってくれて助かった。


近さんのような人こそ、「この人に着いて行きたいと思わせる人」だと思うなあ。

次の公演では、今度は私が近さんを助けられるように頑張ります。

本当にありがとう。




和田さん

和田さん自身も外部の公演が色々とありとても忙しい中、手伝ってくれてありがとう。

自習公演の先輩としてたくさんたくさん助けていただいて、本当に申し訳なく、ありがたく思っております…。

和田さんがいなければ本番成功しなかったかも。

本当にありがとう。




みやじまさん

みやじまさんには感謝してもしきれません。


私のことを見つけてくれて、選んでくれて本当にありがとうございました。

私の言葉が誰かの心を動かせるとは思っていませんでした。

あのとき、私の言葉をこんなに大事にしてくれる人がいるんだと驚いたのを覚えています。


私を何かや、誰かの付属品としてではなく、一人の脚本家として見てくださったことがとても嬉しかったです。

あなたの言葉が照らしてくれています。


昨年の劇団笛の冬公演『むちゅうのドリー』にご来場いただいた際に、私はもう脚本は書かないということをお伝えしたら、

「書かないのはもったいないです」

と繰り返し言ってくださったことがずっと心に残っていました。

それが、ロカイユ発足の後押しをしてくれたと思います。


次は私が、あなたの役に立ちたいです。

また、演劇をしましょう!




さてさて。

次は何をしようかな。


公演が終わって別れる間際、みやじまさんが言ってくださったこと。

「わざわざ『演劇企画公演』って書いてたってことは、演劇以外もやるユニットってことですよね?」


目から鱗というか、なんというか。

世界が広がった感じがしました。

演劇以外もできるんだ!


今回、初めて挑戦した写真。

楽しかったのでもっと練習したいなと思いました。

写真や言葉を使った演劇も楽しそうですよね。


…頭の中で想像できたことは、大抵実現できる。

また、何かしましょうね。




創世風さんとはまた演劇をやります!

情報解禁が楽しみです。


まだまだ続いていく私の表現を、ぜひ見届けていただけたらと思います。




愛を込めて。


小田春でした。


さようなら!




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